沖雅也氏主役作品紹介
必殺仕置屋稼業10話「一筆啓上姦計が見えた」
脚本/安部徹郎
監督/松野弘軌












個人的独断評価:★★
標的:奉行所綱紀粛正係土方左馬之介(伊藤孝雄)と、その取り巻き 
頼み人:標的から金を騙し取った主水
市松の悲しい回想:「その時俺は悟った。これからは独りで生きていかなきゃな
らねぇ」
仕置屋な一言:市松「しかし身内の目の前で仕事をするってのはな」主水「それ
をやるのが玄人だ」
TOPIX:竹とんぼ付き竹串



 
今回は市松と子供の絡みが見物です。
話は、騙し討ちに遭って偽装心中させられた夫婦の一粒種を巡る顛末。
子供には借金が付いており、誰も引き取り手が無い。中村家も竹の湯も持て余し
てるその子供を、
「俺が育てる」と連れて行く市松。竹とんぼを作って遊んでやる辺りは、普段の
彼には見られない表情に、市松の素顔を垣間見るよう。
仕事を断ってでも「あの子の側に居てやりたい」と言うくらい、子煩悩な一面を見せる。

 さて、女房を囮に手際よく仕置を済ませる主水達。しかも仕置料に子供の借金
を上乗せして標的からせしめる抜かり無さ。ちゃっかりしてます、主水さん。
 仕事を終えて、明け方市松が家に帰ってみると、その時子供は・・・。

 「因果は巡る」というか「カエルの子はカエル」になってしまうのか、
市松の切なさやりきれなさが、その表情に凝縮されてます。
・・・所詮は先のない因果な稼業ですから。
人並みに子供を育てようなんざ、思っちゃいけないんでしょうねぇ(溜息)

 話はそれほど込み入ってはいないけど、ラストだけは市松の生い立ちとオーバ
ーラップして、見事としか言いようがありません。

市松が非情であればあるだけ、際立つお話でした。