・今回は富士周辺の宿場町の悪の大掃除というストーリーである。 時代設定も前作同様の天保の改革の混乱期で、今回は葛飾北斎の「富嶽三十六景」に殺しのヒントが画き込まれているという設定である。
・設定や展開も前作を踏襲しているため、どうしても新鮮さには欠ける。 そこで殺し技をかなり派手にしている。
必殺15(20)年の歩みより
・出雲のお艶は新・からくり人の泣き節お艶と同一人物ということになっているが、はっきりとした証拠はない。 唐十郎は沖雅也最後のキャラクターである。 宇蔵は芦屋雁之助三度目のキャラクターであるが、坊主頭である点など、今までより精悍な感じを受ける。
必殺ポスター全集より
・前作同様お艶が今度は安来節の出雲一座を組み、頼み人永寿堂の命により北斎の富嶽百景の絵に込められたあぶり出しのヒントを手掛かりに富士周辺の宿場の大掃除へと旅立つ。
必殺大百科より
からくり人最終作ですね。 旅ものということで毎回舞台が違うという設定は、いい面と悪い面があると思います。

正直言って今作品はピントボケといいますか、目的ははっきりしてるのですが、それが完全に点となってしまっているので、つながりがないんです。 奥底に一本線で繋がっているという設定なのでしょうが、見ている分にはそれをあまり感じません。 最終回で、一応どんでん返しみたいなものもあるのですが、ドタバタした感じであまり効果が・・・。 最終回前である程度の伏線を張っておくとか(張ってあったかもしれませんが気づきませんでした)、いろいろやりかたがあったと思いますが。 旅に出て悪人を殺してきました。お仕舞です。 って感じが強いですね。

宇蔵の殺しのインパクトが強すぎるので、唐十郎の華麗な殺しもちょっと霞んでしまいますが、釣り竿殺しは正に「暗殺」という感じで好きです。 

自分の過去に決別をつける話で、フルコーラスの主題歌(夢ん中)とともに障子を突き破り、相手の首筋に向かって伸びてゆく釣り竿は、未だに強く記憶に残ってます。
平均視聴率
関東 13.3% 関西 14.1%
明星デラックスTVSPより

キャスト

出雲のお艶(山田五十鈴)
殺しの旅回りも二度目。 今回は分解でき、それぞれが武器になるというウルトラホークのような三味線が登場! バチだけでなく、三味線自体が殺しの武器に!

唐十郎(沖 雅也)
永寿堂配下で、お艶たちに北斎が書いた「絵」を届ける役目だったが、いつの間にか仲間になって一緒に戦う。 どこから見ても市松だが、こちらの方が人間味がある感じ。
殺しは釣竿の先に付いた針と、竿のグリップ部分の底に仕込んだ針で相手を倒す。 実に華麗。

宇蔵(芦屋雁之助)
体型からもわかるように、人情家で温和な性格。 しかし、殺しの技は異様! びくを相手の顔にかぶせ、びくを潰すと一緒に頭蓋骨もつぶれるという、かなり高度(?)な殺し技を使う。

うさぎ(高橋洋子&真行寺君枝)
売れっ子の踊り子。 いつの間にか人が入れ替わっていたが、気づかない人も多いのでは? 唐十郎にホの字。 殺しのサブも勤めて、ザルに花火をつけて投げ、敵をかく乱する。 通称「ガメラ」

鈴平(江戸屋子猫)
情報係を担当。 虫や動物の声帯模写が得意。

葛飾北斎(小沢榮太郎)
各宿場の悪人を描いたということだが、本人はそういうことにはあんまり興味がないみたい。 エネルギッシュな浮世絵画家。