・主演は山田五十鈴という映画界の大物を迎え、緒方拳も必殺シリーズ三番目のキャラクターで、また違った魅力を披露してくれた。 この他、時代劇初挑戦の森田健作、ジュディ。オング、上方喜劇の芦屋雁之助といった異色の顔合わせ。
・からくり人たちの設定は一様に島抜け人の集団であり、世の中の裏も表も知り尽くした連中である。 仕置人のように、一人一人の個性はあまり強くないが、その分、集団ドラマとしての面白さがあった。
必殺15(20)年の歩みより
・この作品は設定上、大きな特徴がふたつある。 ひとつはストーリーが史実になんらかの形で関わっていることである。 もちろんからくり人たちは歴史の本などに出てきはしないが、歴史上の事件の裏にからくり人を絡ませ、事件の裏の真相を伝えるような形を取っているわけである。 もうひとつは、13回の短期間ものらしく、設定にある種の一貫性を持たせていることである。
必殺ポスター全集より
・天保の江戸を舞台に山田五十鈴を元締に迎え、もちろん殺し技は五十鈴さんのお家芸である三味線のバチ。 またファンにはうれしや緒方拳が久々の登場。
・今回の殺し技でなんといってもユニークなのは、森田健作扮する、仕掛けの天平である。敵の口の中に花火をくわえさせ、それが爆発して胸のあたりでポンポーンとなるのは必殺ならではのアイデア。
必殺大百科より

からくり人グループは全員が一緒に島抜けをした仲。 いわば家族以上の絆で結ばれているわけです。 よって必殺シリーズの中でも絆は一番強いと思われます。 前作の「金」でしか繋がっていない仕業人と実に対照的であります。 どちらが好みかは分かれるところですが・・・。


基本的なストーリーは、役人側と結びついた殺し屋組織と、あくまでも弱者の涙としか手を組まないからくり人グループの死闘を描いたものなのですが、脚本が素晴らしく、きれいに物語が繋がります。

凄いです。 全13話だというのに、ベストエピソードで5話も選ばれています。 これもその素晴らしさの現れでしょう。

第2話「津軽じょんがらに涙をどうぞ」は、ギャラクシー賞を受賞しております。


平均視聴率
関東 11.2% 関西 16.7%

キャスト

花乃屋仇吉(山田五十鈴)
芸者置屋花乃屋の女将。 先代元締:蘭兵衛の意思を継ぎ、からくり人の元締を務める。

夢屋時次郎(緒方拳)
自作の枕を船で売り歩く枕屋「夢屋」の主。 緒方キャラなので、当然女性にモテる。 枕を作るときの道具を使い、相手を仕留める。 その効果音はのちの殺し屋、秀のかんざしと同一である。
12話で必殺史上類を見ない個人行動を取り、壮絶な結末を迎える。

八尺の藤兵(芦屋雁之助)
花乃屋の番頭。 とても優秀な仇吉の片腕。 雁之助氏初登場ということで、殺し技は濡れた手ぬぐいで相手の首を絞めるという、まだ常識的な殺し技である。 性格も常識人。

仕掛の天平(森田健作)
花火職人。 花火を相手に向けて発射するのではなく、相手に飲み込ませて爆発させるという。意表をついた殺し技を見せる。

花乃屋とんぼ(ジュディ・オング)
仇吉の娘。 花乃屋の看板芸者。

へろ松(間 寛平)
藤兵ヱの息子

(須賀不二男)
からくり人と敵対するグループの親玉。 先代元締:蘭兵衛を殺害する。 どもりくせがある。