・最高傑作とはこの作品のためにあるような言葉と言っても過言ではないほど、ストーリー、出演者、スタッフともに完璧なチームである。
・愛情があるから壊す、好きだから殺す。人間の究極の心理の裏側をものの見事についたラストであった。
必殺20(15年)の歩みより
・今回は、今までのパターンのように、主水のグループに新しいメンバーが加わるのではなく、鉄のグループに主水が新加入する形でスタートするところにも特徴がある。
・主水以外の殺し屋を再登場させるのは初めてのことである。視聴率回復のテコ入れとして鉄を再び登場させたのであり、仕置人当時の鉄の人気が偲ばれる。
必殺ポスター全集より
・4年ぶりに念仏の鉄が帰ってきた。 彼は毎月、寅の日に開かれる俳句の「寅の会」のメンバーであった。 
・今までにないパターンの殺しの請け負い方であり、その寅の会に立ち込める緊張した空気は過去の必殺とはまた違った味があった。
必殺大百科より
スタッフの熱意、出演者の努力は当然なんですが、それだけでは到底説明が出来ないほどの魅力を持った作品。秀作、佳作、駄作を問わず、鉄、主水、巳代松に正八、彼らの生活振りを見ているだけで満足してしまう。このような作品が出来たのは、まさに奇跡的。とにかく江戸の町を舞台に、生き生きと生活する、仕置人たち。時代劇なのに、あまりにもリアルな描写は、観たひとの人生になにかしら影響を与えていると思う。

山崎努氏演じる、「念仏の鉄」は、その強烈な個性で観るものを魅了する。山崎氏が鉄を演じているのではなく、鉄が山崎努であるかのように錯覚してしまう。数年前、山崎氏がビールのCMに出演されていましたが、私には「あ、鉄も年をとったなあ」と感じてしまう。

昭和58年時の関東地方再放送で流された「解散無用」。当時中学生だった私たちを、もの凄い衝撃が襲う。翌日の学校の話題はその話題一色。体調不良で学校を休むものまで出現しました。

縁ありましてLDパーフェクトコレクションを入手しましたが、どうしても「解散無用」だけは観ることが出来ません。あの感覚をもう一度、という気持ちもあるのですが、完全に自分の中で「結晶」と化しているので、観るのが怖いというか、ちょっと言葉では表現しにくいんですが・・・・。
平均視聴率
関東 10.9% 関西 17.1%
(明星デラックスTVSPより)

キャスト
中村主水(藤田まこと)
南町奉行所:定町廻同心。牢屋見回りから期間限定で定町廻りに復帰する。前作と違って気持ち的に余裕が出てきたようで、明るい部分が目立つ。裏稼業でもまさに「カッコイイ」と思える仕事を披露。襟巻もします。

念仏の鉄(山崎 努)
主水以外で仕事師として初の同役にて再登場することになった。前回登場時よりも、より人間味に溢れ、「男」の理想像を追求する。

巳代松(中村嘉葎雄)
鋳掛屋。中村主水、念仏の鉄という、必殺至上双璧をなすキャラクターに挟まれ、旧仕置人からの視聴者には「棺桶の錠」と比較される、絶対絶命な立場で登場。序盤は地味なキャラクターで、存在感がなかったが、緊迫の竹鉄砲とともに、強烈な自己主張を開始。主役作品には名作が多い。

正八(火野正平)
情報屋を担当する絵草子屋。店はアジトにされ、使いっ走りにされたりするが、その分いい加減なつじつま合わせの仕事もしている。

おてい(中尾ミエ)
情報屋の女スリ。立場は正八より上。結構みんなに一目置かれている。主水と鉄のほとんど殺し合いのもめ事を解決。

元締 虎(藤村富美男)
江戸の仕置人を組織化し、その頂点に立つ。鉄のグループにはかなり甘い。

死神(河原崎健三)
虎の用心棒兼傘下の仕置人の監視役。死神の存在感がこの作品の緊張感を高めた。