・必殺仕置人は本当の意味での「必殺シリーズ」のスタートと言える。 仕置人同志で協議をしたり、ハッキリとした元締などない、一匹狼たちの集団というスタイルが早くも2作目にして確立された。 また中村主水の登場も重要なポイントである。
・一匹狼だった連中が寄り集まって出来た仕置人グループ。 そこに中村主水という頭脳が加わることによって秩序が保たれる。 鉄や錠の考えではあまりにも単純すぎるが、そこに主水の知恵が加わることによって最強の仕置人グループが誕生するわけだ。
必殺20(15年)の歩みより
・前作の梅安や左内のスマートな殺し方と対象的に鉄の殺し、錠の殺しはやりすぎといわれるくらい荒っぽいものであった。 特に鉄の殺しは「素手で人を殺す」という大変にインパクトの強いものであった。
・鉄は「強さ、不気味さ」錠は「荒々しさ、若さ」主水は「頭の良さ」といったところか。 もう一人忘れてはならないのが天神の小六である。 牢の中に住む大親分なのだが、主水のよき金づるであり、ときには後見人的な役どころでもあった。
必殺ポスター全集より
・仕置人たちの豪快な殺し技はファンを魅了した。 特に鉄の骨はずしはレントゲン写真をうまく使い、武器を持たずして相手を倒す恐怖感を見事に表出した。
・仕掛人を静とするなら仕置人は動。 錠のアクションと鉄の指は今日でも色褪せない。
必殺大百科より
前作「必殺仕掛人」には原作が存在していたが、この作品より、完全オリジナルの「必殺シリーズ」となります。

この作品は異様にパワーが溢れ、観るものを圧倒します。
殺し方も急所を潰したり、目に指を突っ込んだり、返り血で障子が真っ赤に染まるくらい刺したりと、それはそれは思う存分やってくれます。

悪人を殺すだけでなく、殺すよりひどい仕打ちをやったりします。薄笑いを浮かべながら。

仕置人のコンセプト「悪を裁くさらに悪いヤツら」というのもよく描かれていて、殺しの最中に残飯をあさったり、殺した相手の持っていた金をかすめ取ったりします。

それが顕著に描かれているシーンは、米騒動に紛れて米屋の蔵を襲い、米を奪うところでしょう。こんなことを平然と出来るグループは仕置人しかないでしょう。
平均視聴率
関東 22.8% 関西 26.1%
(明星デラックスTVSPより)

キャスト
中村主水(藤田まこと)
北町奉行所:定町廻同心。自分の勤める奉行所の腐敗に絶望し、仕置人になる。必殺特集本等では、主に頭を使う元締的存在、などと書かれることが多いのですが、私的には鉄と錠で充分な場合は出陣しないだけで、自分の出番があるときは、ちゃんと活躍します。シリーズ第一作でみせる、床下からの突き殺しは、印象深いです。
また、奉行所で昼行灯とこの頃からもう呼ばれているのですが、剣術については奉行所内で一目置かれているというエピソード描写もあります。

念仏の鉄(山崎 努)
必殺ファンに圧倒的な支持を持つ多人数相手でもひるむ事無く、超人的な強さを発揮。私生活では女に目が無く、自由気ままに奔放な生活をおくる。
男性は心にどこかに必ず「鉄」を理想とする部分があるんです。

棺桶の錠(沖雅也)
これまた、男性の理想像(^^)。長身、美男子、クールである一面、ちょっとコミカルな面もある。でもってメチャ強い。反則のオンパレードじゃないか!男の敵だ!
ストレートな感情の爆発が魅力。

鉄砲玉のおきん&おひろめの半次は情報係を担当。おきんのバイタリティーの固まりの江戸っ娘。首を突っ込すぎのことも多々あり。

中村せん&中村りつ
この作品中のムコイビリは壮絶。主水と口もろくに聞かず、態度でいじめます。りつもあまり優しさをみせるところもなく、主水が自分で洗濯した着物を、その場で地面に叩き付けるシーンはあまりにも、主水が可哀想。

天神の小六
仕置人グループの後見人。あまりに大物すぎで、牢屋敷に住むことになった、裏江戸社会の首領。主水たちに助言を与える一方、主水たちに助けられることもあった。最終回での描写が無く残念。