・京マチ子に続いて。またまた銀幕の女王である高峰三枝子の起用に成功。 そして若者に人気の中村雅俊という異色の顔合わせに、シリーズ常連となった渡辺篤史。西崎みどりらが織り成す華麗な殺し技の数々がこの作品の魅力である。
・久しぶりに江戸を舞台とした13回シリーズである。 主水一家を一般家庭と考えるなら、この作品はお江戸の長屋を舞台に中村雅俊・藤山直美の惣太夫婦と渡辺史・西崎みどりの大吉夫婦が暮らす、さしずめ団地といったところである。
必殺15(20)年の歩みより
・かつてない少人数であり、その分殺し屋個人にスポットを当てたストーリーが多くなっている。 いわば初期の必殺シリーズを思わせるつくりであるといえよう。
・大吉の殺し技は、怪力を利かし腸を捻じまげるというものであるが、仕留人の大吉(近藤洋介)以来のレントゲン効果による殺しのシーンは迫力満点であった。
必殺ポスター全集より
江戸市中に「蘭方・鳴滝忍」の看板をかかげる女医の忍は長崎でオランダ人医師を父に、丸山遊郭の遊女を母に生まれた混血児であった。 そんな忍はおんな赤ひげの如く、貧しい人たちに無料診察を施していた。 表稼業は人の命を救うものの裏稼業では鎌イタチの忍という異名を持つ殺し屋だった。 その忍の近くの長屋に住む鏡磨き職人の惣太も殺し屋だが、女房のお直は亭主の裏稼業を知らない。 
必殺大百科より
仕事人ブームのど真ん中でこんな作品が出来るとは、ちょっとおもしろいですね。 

殺し屋が3人+αという最小単位にみんな近所の顔なじみ。 環境でいうと仕置人に近い感じがするが、惣太も大吉も所帯持ちなので、雰囲気としては仕事人に近いかな?
さらに、最初観たときは気付かなかったのですが、今にして思えば、仕事屋稼業を意識して作られているような気がします。
大塚吾郎氏がオカマ役で出ているし、最終回も仕事屋に近いといえば近いし。

原点を意識したというよりは、各シリーズの良いところを取り込んだという感じですね。 が、が、が。 取り込んではいけないものも取り込んでしまいました。 殺しのBGMの途中変更です。
オリジナルがとても気に入っていただけに、ちょっと考えて欲しかったです。 

この作品が放映される少し前に、仕業人再放送で必殺に嵌った私としては、「渡辺篤史」=捨三としか変換できないので、非常に違和感がありました。


平均視聴率
関東 15.1% 関西 21.8%
明星デラックスTVSPより

キャスト

鳴滝 忍(高峰三枝子)
庶民に親しまれ、頼りがいのある女医でありながら殺し屋でもある。
「鎌イタチの忍」と呼ばれ、闇の世界では割と有名である。
殺しの前には入浴して身を清める。
いわゆるサービスカットあり。
殺し技はダイヤ(水晶?)の指輪で相手の首の頚動脈を切断する。

惣太
(中村雅俊)
こちらも「鏡」と呼ばれる殺し屋で有名。 表の稼業はそのルックスを活かした鏡磨き。 
ちょっとお暇な奥方たちを相手にする、一種のお色気商売。
マダムだけでなく、男色の人たちにも大人気。
手鏡に仕込んだ針で、相手の急所を刺す。

大吉(渡辺篤史)
真面目な人足。 体格はそうでもないが、力は人の3倍ぐらいある。 その怪力を利用し、相手のアバラ・腸をねじり上げる。 実に不幸な人物:お沢に惚れ、嫁にする。

お直(藤山直美)
惣太の女房。 惣太にぞっこんのため、はやく子供が欲しくて必死。
非常に明るく元気いっぱい。 
忍の診療所で助手を務める。

お沢(西崎みどり)
ある旗本の女中であったが、そのドラ息子の慰みものにされた上、妊娠。 逃げ出して子供を堕ろそうとしているところを大吉に止められる。 その後、口封じのために襲われ、流産し、ショックで記憶を失うという、書いていていやになるくらいな悲しい過去を背負っている。

金次(大塚吾郎)
惣太に想いを寄せる魚屋。

銀平(高杉俊介)
寄長屋に遊びに来る2枚目