必殺仕業人解体新書
第28話「あんたこの結果をどう思う」
脚本/安部徹郎
監督/渡辺祐介

top 超個人的独断評価:★★★★★
標的:柴山藩江戸留守居役・土屋多門
頼み人:柴山藩の農民
剣之介の家:焼け落ちた廃墟
やいとやの縁起担ぎ:おみくじ(凶)
仕業人なこと:

ついに最終回。
頼み人に仕置き料を値切られ、やいとやの縁起担ぎは「凶」が出るという波乱の幕開け。
無事に仕事を終えるも、やいとやが捨てたおみくじがのちに大変な事態を引き起こす。
江戸留守居役を殺された柴山藩は、下手人を挙げるのに必死である。指揮を執るのは殺された要人の息子、土屋小十郎。
土屋小十郎はこの殺しを玄人の仕事と考え、江戸屋という殺し屋の総元締めに掛け合い、情報を得ようとする。
江戸屋は主水を知っているようだ。そして現場に落ちていたおみくじからやいとやを突き止め、土屋小十郎に報告。
土屋小十郎はやいとやの家に追い込みをかける。そこにいたやいとやは逃げるが、一緒にいた剣之介は捕らえられてしまう。
剣之介は激しい拷問にかけられる。

やいとやはそもそも剣之介とは馬が合わない。
1話、2話の対立やそれ以降のエピソードを見ても、なんだかんだいって、侍気質が抜けない剣之介とは合いそうもない。
それはそれで悪いことではないし、むしろその方がやいとやらしい。ところが今回、やいとやは単身、剣之介を助けに行く。
少しは自分の責任を感じたのだろうが、やいとやのこの行動を見たときは涙がでそうになった。
そして剣之介とお歌を逃がすため、自ら囮になるやいとや。
22話で捨三が、彼らを仲間と認めて、主水に反抗したように、やいとやもまたいつの間にか二人を仲間として認識していたのだった。が、そのやいとやの目の前で斬り殺される剣之介とお歌。

自宅で剣之介とお歌の死を捨三から聞く主水。ショックで完全に自己喪失状態となる。
偶然、その時にかわやに入っていた千勢先生に、覗いたと誤解され、せんとりつを巻き込んだ騒動になるが、主水は全く反応しない。
剣之介の死が主水に与えた影響は、その後の「新必殺仕置人」「必殺仕事人」の第1話を見ても解るように、相当深かったと考えられる。

柴山藩が事件を調べていくうちに、土屋多門の不正が明るみに出て、以降の土屋多門殺しに関する探索が打ち切られる。
やいとやは解き放ちとなる。
しかし、納得がいかない土屋小十郎は江戸屋を通じて主水に果たし状を送りつける。
主水はやいとやと酒を飲みながら話す。やいとやは果たし状の件を一笑に付すが、主水は受けるという。
やいとやは足を洗うつもりのようだ。「俺達は確かにやりすぎた」というセリフは印象的だ。
そんなやいとやに、今回の顛末の発端となった「おみくじ」を無言で渡す主水。

そして果たし合い。名乗りを上げて、正々堂々正面からぶつかり合う二人。旅の衣装をまとい、対決を見守る捨三とやいとや。
激闘の末、土屋小十郎を斬る主水。捨三とやいとやが駆け寄ろうとするが、それを無視し、霧の中に消えていく中村主水。
「中村主水、恐ろしい男よ」とつぶやくやいとや。
バラバラだったメンバーが無意識に仲間意識を持ったとき、仕業人は解散となった。